長居植物園では11の専門園や歴史の森といった特徴的な植物が見られますが、その他にも、見ごたえのある、または、珍しい植物たちがたくさん息づいています。
その中の一部をご紹介します。
紫と赤のコントラストが美しい
ジャカランダとデイゴ
ジャカランダは、ホウオウボクやカエンボクと並んで、世界三大花木に数えられる木です。南米原産で、現高さ15m以上に成長し、現地では葉に先立って紫色の花を咲かせるので、紫の雲のようだとたとえられます。暖かいところで育つ木ですが、大阪市内でもジャカランダが元気に育っています。長居植物園の中だけでなく、長居公園にもジャカランダの木があります。
ジャカランダがあるエリアの中では、真っ赤な花が咲くアメリカデイゴやヒシバデイゴも見ることができます。同時期に花が咲き、どちらも花が散った地面も美しく、紫と赤のコントラストは見事です。
ねじれる植物
シダレエンジュとウンリュウグワ
シダレエンジュはシャクヤク園の中に格子状に植えられていて、その姿は異彩を放っています。
葉がついている時期はわかりませんが、冬になって枝を剪定したあとは、幹や枝がグルグルとねじれている様子がシュールです。また、夏は枝垂れた枝先にいっぱい白い花をつけ、可愛らしい姿になります。春、シダレエンジュの足元のシャクヤクが咲き乱れたあとは、シダレエンジュの変化を楽しんでください。
ねじれると言えば、すぐ近くに、ウンリュウグワの木が2本あります。
枝がグルグルとねじれていて、生け花などにもよく使われる枝で、シダレエンジュよりは繊細なイメージです。
黄色いツバキ
キンカチャ
ツバキ園のバラ園よりの一角に、キンカチャの木があります。
ツバキには珍しい黄色の花で、1965年に中国の広西省南部で発見された時には「幻の黄色いツバキ」と話題となりました。熱帯性のツバキで、花の大きさはやや小さく、大阪では路地で育つのが珍しいと言われています。
発見当初は、中国の天然記念物に指定されて、国外への持ち出しも禁止されていて、日本に渡来したのは、1980年頃だと言われています。
地面から顔を出して息をする
ラクウショウの気根
ラクウショウは多くの公園などで植えられている木で、気根が出るのが特徴ですが、大阪市内で気根を見られるのは珍しく、正門からエントランスに続くラクウショウ並木や植物園北側に位置する小池の周りでは、その気根がたくさん出ている姿を見ることができます。
気根とは、根が地面から突き出たもので、水辺や湿気の多い場所で酸素不足を補う役割があります。
にょろにょろと突き出た気根の様子は奇妙で面白く、特に小池の周りでは、大阪市内にいるとは思えないような景色を見ることができます。
白い綿毛をとばす
ポプラ
長居植物園の北東にあるツツジ山にはカロリナポプラが植えられています。
樹高20メートルにもなる大木で、北アメリカがその原産地です。春に花を咲かせますが、樹高が高く肉眼で花を観察することは非常に難しいです。しかし、初夏にかけてつく果実は成熟すると裂け、中から綿毛のついた種子をとばします。タイミングがよければ、この小さな綿毛が園路に積もっているところを見ることができるかもしれません。
大きくなっても幹が青い
アオギリ
長居植物園の西側の園路沿いにはアオギリが植えられています。
大きく生長しても、幹が緑色をしている珍しい植物で、若い木は幹でも光合成することで知られています。その珍しい幹肌から、シラカンバ、ヒメシャラと並び、三大美幹木に数えられ、街路樹として植栽された歴史があります。10月頃になると果実が縦に裂け、この裂け目に沿って一列に並んだ種子が現れます。 この種子は第二次世界大戦中に、コーヒーの代用品として用いられていました。
かまどにくべても燃えない
ナナカマド
長居植物園の正面ゲート入ってすぐ右手にはナナカマドが植えられています。
北海道から九州にかけての寒冷地から山地にかけて自生すするバラ科の植物です。紅葉と赤い実が美しいことで知られ、北海道や東北地方では街路樹として植えられています。大阪の夏はナナカマドにとって厳しい環境で、露地栽培しているところは非常に珍しいといえます。「ナナカマド」という変わった名前は、植物体の水分量が多く、七回かまどにくべても燃えないと考えられたことがその由来だと言われています。