長居植物園には「二次林」というエリアがあります。これは、歴史の森の中でいう現代の林を表しており、15年以上、ほとんど人の手を入れずに管理をしてきました。
2021年から、二次林を二次林の状態に維持するために、一部を「里山」として管理していくように計画し、「長居の里山」と名付け、また、長居の里山の北西には、「里山ひろば」を設置して、「長居の里山」から得た惠みを利用するなど、里山活動の拠点となるエリアとしました。
「長居の里山」と「里山ひろば」が循環する、都会の中でも自然を感じられる場所です。
長居の里山
「二次林」エリアの中に、「長居の里山」はあります。
二次林を南北に仕切って、東側が「長居の里山」です。
二次林とは、山火事や開発などによって失われたあとに自然に再生した林のことです。主に、コナラやクヌギなどの落葉樹によって構成されていて、炭をつくったり、農業に利用したりすることで、人為的にその形を保つことができます。
二次林が変化していくと、極相林に近づいていきます。
植物が何もない状態から、草原~森林へと植生が遷移していき、これ以上遷移が進まなくなった状態を極相といい、その土地の条件によって極相の状態はさまざまですが、大阪では陰樹の森林となります。長居植物園にある「照葉樹林」が現代の大阪の極相林を表しています。
長居植物園の「二次林」は、大阪市の整備計画において、現代の森のひとつである「二次林」の様子をご覧いただくために人工的につくられたものです。
自然にできたものではありませんが、できるだけ、「二次林」の形を保ちたいのです。
ここは、鳥たちが多く訪れるエリアでもあり、自然と生物を守りながら、管理や活動を行っていきたいところとして考えています。
現在の状況は、コナラやクヌギ、ナラガシワ、アベマキのような落葉樹の中に、鳥が種を運んできたのでしょうか、シュロやクスなどの常緑樹も育ってしまっています。
地面は、ほぼ、ササで覆われていて、多様な植物を見ることができません。
二次林で育つ植物を育て、利用するサイクルを、大阪市内にあるこの長居植物園で、都会の里山として機能させていきたいと考え「長居の里山」と名付けました。
里山ひろばとグラウンディングツリー
「里山」に対して「里地(さとち)」という言葉があります。
「里山」と「里地」はワンセットで、里地の人々は、里山から薪などのエネルギーや食糧などを手に入れ、そのことが里山を手入れすることになり、さまざまな生き物を育む場ができました。
人が生活する場ではありませんが、「里山ひろば」は「里地」をイメージしてつくっています。
「長居の里山」や「里山ひろば」では、「里山ボランティア」のみなさんが活動していて、「長居の里山」と「里山ひろば」を循環させています。
「里山ひろば」の一角には、グラウンディングツリーが設置されています。
“自然と人がつながる共生のシンボル”としてつくられました。